昼さがり、公園のベンチに座っていた。
と、その時、突然、普通の景色がば〜〜んと変わった。
そして圧倒的な天然色で輝きだした。
わーっ、これはなんだ。なんだ。
見たこともない眩さ、見たことのない広さ、
見たこともない奥行き、輝き。
すごすぎる。

これは、一体なんだ、この濡れたような温かい輝きは。
この色彩の深さは。
しかも、視野の隅から隅まで、
すべて、一度に広く、しかも微細に見えるなんて。
ああ、きれいだ。なんて美しいのだろう。
風も光り、草の葉の一枚一枚もキラキラと光っている。
赤い花はさらに赤く、燃え立つように赤く、
緑の葉はさらに緑に、透き通るように緑に。
こんなに光溢れるところに私は居たのだ。

噴水の一つ一つの水玉が、コロコロと光りながら、
超スローモーションで、放物線を描いて降りていく。
そのむこうの大きな深い森の木々の中に、
幾十羽の鳥が各々、動いている。
なぜだろう、皆見える。
数えろと言われれば何羽いるか数えられるくらいだ。
左右に広がった森の木立の中に、全部が一度に見えてる。
ああ、リスだ。リスもいるんだ。
二匹が木の上に駆け上がり、追いかけっこだ。
あっ、右にも、もう二匹。楽しそうだな。

その森の向こうは青空。チラチラ、チラチラと輝いている。
まぶしくはないが、あんなに輝いていたんだ。
星が透けて見えてるのかしら。
すべてが美しい。すべてが光り輝いている。
こんな美しい地球に滞在してたなんて、生まれて来たなんて。
なんて、すばらしいことだろう。きっと宇宙一だな。

と感動して眺めていると、大きな森が、
暖かく光る空にむかって膨らんだり、
縮んだりしている。とても、自然な感じ。
ふ〜ん、知らなかった、森も息をしていたんだ。

と、その時、右、斜め前方から飛んできた、一羽のハトに、
意識が行ったら、一瞬にして、もとの固い普通の公園の景色に戻った。
あっ、なるほど。眼と心が動いたからだ。
やり方が分かったので、ハトがよそに行くと、
すぐにまた、「圧倒的な３D天然色」に、景色を戻した。
ば〜〜〜ん。すごい。

そして、しばらくは、とても、とても、とても、
幸せな時間を、光が煌めく時間を、心行くまで楽しんだ。

宝彩有菜
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