夜、眠りに落ちるときに、穴に落ちたり、一階から地下に落ちた感じになって、びっくりして目が覚めることがある。
深い眠りに入る前だ。

ある時、瞑想を何本かして、眠りについたことがある。
「今夜は、もし、下に落ちたら、落ちてもびっくりしないで、落ちるまで放っておこう」
と思って眠りについた。
放っておけば、どこかにぶつかるのか、ぶつかって止まるのか、それとも、ぶつからないのか？
一度も、床に墜落したことがないので、一度墜落するかどうか確かめてみよう。

そして「ああ、そろそろ眠りに入るな」と思ったときに、いつものようにストーンと落ちた。
普通なら、びっくりして、目を覚ますところなのだが、その時は、「観照」状態になっていて、もともと覚めていたので、びっくりしないで、その様子を見守った。

ストーンと落ちはじめた私は、そのまま、ずーっと落ち続ける。
一階から、地下に落ちたのはいいのだが、地下の床にぶつからない。
地下の床には穴があいていて、ちょうど、その穴に落ちてしまった。
そして、ずーっ、と落ち続ける。その縦穴は、まっすぐ、まっすぐ地球の中心に向かって伸びているのだ。

何千キロもある、縦穴だ。さらに、落ち続ける。スピードもマッハを超えたかもしれない。さらに、落ち続ける。止まらない。こんなスピードは初めてだ。
もう、地球の中心を突き抜けて、反対側に向かっているころだ。
それでも、止まらない。

無重力ってこういうことなのだ。
と深く納得したら、観照から覚めた。
ブラジル辺りで覚めたと思う。

宝彩有菜
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